平成2年4月21日

平成2年4月25日 歌舞伎座 一幕見席
五世中村歌右衛門五十年祭 
四月大歌舞伎(夜の部)「籠釣瓶花街酔醒」


佐野次郎左衛門…吉右衛門
八ツ橋…児太郎
栄之丞…福助
治六…又五郎  ほか


新聞寸評でいいと読み、またストーリー性から見ても
共感してしまうような内容であるので、思わず足を
運んでしまった。


児太郎は八ツ橋に始めて挑んだそうだが、とても男とは
思えないくらい色気がありうっとりしてしまった。
また、次郎左衛門へ(?)微笑む表情は私は忘れないだろう。
脇を固める又五郎福助も独特の雰囲気で存在感が大きかった。
そして吉右衛門、弁慶や鬼平のイメージが強いが、ふられて
しまう男のあわれみと狂信的な八つ橋への想いがグッと出て
いて、今までのイメージからふっきられた。


ストーリーと主人公次郎左衛門がとてもインパクトが強く、
私自身とても好きになってしまった作品である。


(回顧)


小学生のころに顔のことで馬鹿にされたせいか、自分の顔に
コンプレックスがあり、情報誌「ぴあ」に「歌舞伎ワンダー
ランド」という月一ペースの連載があり、それに吉右衛門
あばた面の次郎左衛門の姿が載っており、醜い顔の男が
吉原の花魁に恋し悲劇的な結末を迎える筋を読み、何か
魅かれるものがあった。


ふと親父の「一幕見席」のことを思い出し、夕方の授業を
サボって行ってしまったのだ!千秋楽で立見だったが、
初めてながら、舞台全体が見え、役者は遠いが見やすかった
ことを覚えている。